古典は不要か?

昨今、古文・漢文の有用性について疑われている。その批判は主として、実用性の有無が中心になっている。つまり、役に立つのか、立たないのかという二項対立の問題として考えられている。 しかし、そもそも古文・漢文に実用性という評価軸を持ち込むのはなぜ…

崩壊への欲望

最近、fxを始めてみた。fxは通貨ペアを利用し、買い注文をしたり、売り注文をしたりして、注文を入れた額の差益を得るマネーゲームだ。通貨ペアの中でも、一番初心者向きなのがドル/円だと聞いて、そこから始めてみた。最初はあれよあれよと儲けて、こんなに…

「半沢直樹」が好きな日本人

「半沢直樹」のストーリーを端的に言えば、勧善懲悪の現代版時代劇といえよう。 ここで、少し寄り道がてら「勧善懲悪」について、明治以降の近代文学との流れから論じてみたい。明治以前の文学すなわち江戸までの文学は、基本的に勧善懲悪の物語が庶民の間で…

なぜ生きるのか? ウォーキングデッドより

「人はなぜ生きるのか?」この命題は古今東西の哲学者や思想家が考えてきたテーマです。今回はウォーキングデッドに定位して、この命題に迫ってみたい。 まず、ウォーキングデッドのストーリーをさらっと説明します。主人公のリックは保安官をしていたのです…

「レディプレイヤー1」と〈リアルへの回帰〉

「レディプレイヤー1」はストーリー自体、非常に分かりやすく、「ジュマンジ2」や「ジュマンジ3」のようなゲーム的要素の強い映画になっている。作中では80年代のキャラクターや音楽が流れ、この時代を生きた人にとっては、懐かしい気持ちを催させる、「ALWA…

リモート飲み会の憂鬱

久しぶりに高校時代の友人と話をした。勿論、コロナ下なので、最近流行りのリモート飲み会とやらに参加した。 結論から言えば、こんな飲み会に参加するべきではなかった。僕は嘘をついた。他の三人が正社員である手前、パートであることを言い出せなかったの…

ジュマンジ3の駄作ぶりはどうしたものか

子どもの頃に「ジュマンジ」を見たとき、こんな面白い映画があるのだと思うぐらい楽しんだ。勿論、一番好きな映画は「バック・トゥー・ザ・フューチャー」でそれに続いて「スターウォーズ」とくるので、その次ぐらいの位置付けではあるけれど、好きな映画の…

映像作品における視聴者とキャラクターの情報量の差

映画、ドラマ、アニメなどの映像作品における、キャラクターと視聴者の情報量の差に着目してみたい。 おおよそ情報量の問題は次の二つに分けられる。 ①特定のキャラクター+視聴者 これはドラえもんを例にとって考えてみる。例のごとく、のび太がジャイアンに…

2話目 資本主義の最終段階における帝国主義 レーニン

今回、読んでみたのはレーニンの「帝国主義論」です。正式には「資本主義の最終段階における帝国主義」という長いタイトルがついています。ただ、一般的には「帝国主義論」という短縮して呼称されているようです。 ざっと要旨を述べておきますが、この本にお…

氷河期世代の就労支援

氷河期世代を公務員として採用します!最近、こんなことを政府をあげて主張し始めた。この動きに全国の自治体は氷河期世代に対して数人の採用枠設け、その救済に乗り出している。しかし、その競争は凄まじく、数人の採用枠に対して何百人も応募者が殺到し、…

天気の子 感想の続き2

世界を救いたい子どもたちvsそれを阻止する大人たちという図式に対しての批判をしておくことを忘れておりました。 穂高たちは、最終的に警察の制止を振り切り、陽菜を救いだすことに成功し、見事に大団円をむかえます。しかし、これが原因で東京の大部分は水…

犯罪者を欲する人々

最近、犯罪者の報道が盛り上がっている。特にネットのコメント欄では日夜、犯罪者に対して、罵詈雑言が浴びせられており、いわゆるネットの「おもちゃ」として消費されているようだ。このような風潮に対して、少し冷や水を浴びせかけておきたい。 そもそも、…

小津安二郎 「東京暮色」

「東京物語」の感想と時系列が前後しますが、「東京暮色」の感想を遅ればせながら、書いてみます。 「東京暮色」は有馬稲子の美貌と薄幸の運命が見事にマッチした名作だと思います。ただ、世間ではあまり評判が芳しくなく、有馬さんの演技力に難癖をつける人…

小津安二郎 『東京物語』

見よう見ようと思って見ていなかった小津安二郎監督作品『東京物語』をやっと見ました。小津映画はこれが二本目で少し前に『東京暮色』を見て、ああ良いなあと思って、ちょっと敷居が高いと思っていた『東京物語』もこれで見られるのではないかと確信し、TSU…

天気の子 感想続き

また、「天気の子」を貶そうと駄文を連ねているのかと批判されそうですが、書くしかないのです。 僕がこの映画を好きになれない点は以下の二つです。一つは、田舎の青年というものは都会に憧れるものだという幻想。もうひとつは、世界を救いたい子どもたちvs…

天気の子 感想

今日、深海監督最新作「天気の子」を見に行きました。結論からいうと、ああーまたかという感じですね。「君の名は。」もそうだけど、いわゆる「愛」のパワーで解決みたいな話はやめてもらいたいなと思いました。何らの必然性もなく、すべてがご都合主義なん…

「道徳の系譜」続き

僧職者的価値観に依拠した「畜群」達は道徳上において奴隷一揆を始める。彼らは自らの敵を自力で復讐できずに「反感」(ルサンチマン)を募らせ、自分以外のものをあたまから否定する。まず「悪い敵」を見つけて、その対照である自分=「よい人間」を見いだす…

1話目 「道徳の系譜」ニーチェ

1話目といっても、何を書くか迷っていたのですが、最近手に取ったニーチェの「道徳の系譜」の感想でも書いてみようかなと思います。 一読すれば分かりますが、ニーチェっていう人は、非常にサービス精神旺盛な文章を書くんですね。例えば、「本書(道徳の系譜…

このblogについて

基本的に読書日記というかたちで書いていこうと思っています。もちろん、僕の興味を持っていることや生活面も書くこともあるかもしれません。あまり肩肘張らずに自由に書いていきます。 ではでは。