2話目 資本主義の最終段階における帝国主義 レーニン

   今回、読んでみたのはレーニンの「帝国主義論」です。正式には「資本主義の最終段階における帝国主義」という長いタイトルがついています。ただ、一般的には「帝国主義論」という短縮して呼称されているようです。

 

   ざっと要旨を述べておきますが、この本において、レーニンが執拗に批判しているのは、資本主義の発達がある段階を越えると、本来持っていた自由競争の原理が薄まっていき、カルテルやトラスト、コンツェルンといった独占体が形成され、少数の企業が市場を独占するようになっていくことです。そして、このプロセスが最終的に「帝国主義」へと収斂していくことを様々な根拠を示しながら証明していきます。

 

   この発展段階における顕著な特徴は、企業間での統合及び銀行間での統合が急速に進むことです。この二つが同時並行的に進むことが、「資本主義」から「帝国主義」へと移り変わる過渡期に顕著な現象なのです。これがもう一段階進むと、ーーーいわゆる「帝国主義」ーーーに移行すると、列強による植民地への「資本輸出」が行われるようになります。これによって、植民地は列強への従属度合いを強めていくことになります。ここでのポイントは「商品輸出」ではなく「資本輸出」だというです。単なる「商品輸出」であれば、彼らの購入する量は限られますから、たいした商売になりません。

   しかし、「資本輸出」となれば、鉄道の敷設を始めとする公共事業を展開し、その上前を跳ねるという悪どい商売ができますし、借款を供与することで、列強の商品を購入させ、植民地がさらに従属度合いを強めることに繋げることもできるのです。このようにして世界は文字通り列強によって分割されるのです。そして分割された植民地はまた他の有力者に再分割されるというかたちで決して終わることはないのです。